住宅省エネルギー技術講習会を受講して

建築士の夫です。

先日のことですが、住宅省エネルギー技術講習会を受講してきました。

img_3433a

欧米にくらべて断熱に対する考え方がかなり遅れているのが実情で、近年になってようやく国として法案化(義務化)するほど深刻に取り組まれるようになってきました。

 

家の作りやうは、夏をむねとすべし。

冬はいかなる所にも住まる。

暑き比(ころ)わろき 住居(すまい)は、堪へがたき事なり。

徒然草第55段前半

 

日本の住宅は700年も昔の鎌倉時代から近年まで、ず~っとこの言葉を大事にしてつくられてきたのでしょうか?

エアコンの無い時代はそれでよかったのでしょう。

しかし、エアコンの普及した今日では、徒然草の発想と全く逆の状況と言っても良いと思います。

 

私が住んでいる築42年のマンションは、断熱材の施工がありませんでした。

そのため、リノベーションの際には既存の内装をすべて撤去、スケルトン状態として外壁内側に発泡ウレタンの断熱材を吹付ています。

当時の建物として断熱材が施工されていないというのは特におかしなことではなく、決して欠陥住宅であったというわけではありません。

サッシについてもすきま風の入る薄い単板ガラスのアルミサッシですが、こちらは共用部にあたるので勝手に取り換えることは出来ません。

夏は近年の猛暑でもエアコンさえ付ければ堪えがたいことはありませんが、冬の窓際の冷気はじっとしているとからだにこたえます。

 

最近の新築物件では、断熱材については当然に施工され、サッシについても複層ガラスのものが当たり前となってきていますが、最新のH28年度省エネルギー基準に対応するにはより性能を上げる必要も出てきます。

しかし、これはあくまで省エネルギーの観点でエネルギーロスを減らすための基準であって、その住宅(建築)が快適であるかの基準ではありません。

 

深き水は涼しげなし。

浅くて流れたる、遥かにすずし。

こまかなる物を見るに、遣戸は蔀(しとみ)の間よりも明し。

天井の高きは、冬寒く、灯暗し。

造作(ぞうさく)は、用なき所をつくりたる、見るも面白く、万(よろづ)の用にも立ちてよしとぞ、人の定めあひ侍りし。

徒然草第55段後半

 

庭を流れる水の音から感じる涼、建具を通して導く自然光の明るさ、用のないところを作りこむ遊び心。

ただ単に省エネルギー性を高めるだけでなく、このような、環境が空間・生活におよぼすものも大事に考えて、快適な住宅(建築)を設計できるように努めたいと思います。

 

 

 

SNSでもご購読できます。