大阪メモリアルパーク 前方後円墳墓
用途:集合墓
規模:墳丘長20m
竣工:2025年9月
企画:竹田恒泰(株式会社前方後円墳)
撮影:山中陽平
いにしえより聖地として信仰されてきた生駒西麓より大阪平野を眼下に望む絶景の霊園、大阪メモリアルパーク内に築造された前方後円墳型の集合墓である。
古代大和の鍵穴型の前方後円墳を現代に蘇らせた新しいスタイルのお墓は、明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰氏が企画によるもの。
樹木葬が主流となった現代のお墓事情では、金銭面での負担だけでなく維持管理の負担を子や孫にかけないことが求められている。樹木葬のように個々に小さく慎ましやかなかたちをとるのも良いが、いっそのこと集まってひとつの大きな緑のモニュメント=古墳に眠るのはどうか。竹田氏と考古学者が熟議を重ね、古代の大王の個人墓であった古墳を多くの人々の集う集合墓として現代に再構築した新しい墓のかたちがである。
古代大和の古墳文化を忠実に解釈し、現代に表現する。その竹田恒泰氏の想いを受け、ランドスケープから埋葬施設としての機能、各部のディテールに至るまで設計・デザインを担当した。
後円部の中央には、古墳時代後期の横穴式石室を模した石室が設けられ、内部には当時の三種の神器を忠実に再現した石棺が安置される。石室の周囲には個別埋葬スペースとなる後室があり、前方部に設けられた合同埋葬スペースとあわせて2つの形式で埋葬することが可能である。
この古墳墓が築造された場所は、もともと霊園休憩所に隣接する芝生広場であり、霊園利用者にとって憩いの場として親しまれてきた。その風景との調和を図るため、円墳を模した三つの築山が配置され、古墳群のような景観を創出している。築山は子どもたちの遊び場としても機能し、ブランコなどの遊具とともに、墓参に訪れる三世代の憩いの場として親しまれている。
1800年の時を超えて今なお残る古墳の姿は、人々が永眠する場所の象徴として受け入れられやすい。令和の時代にふさわしい、新しい永眠のかたちとして、多くの人々に選ばれることを願っている

































