K医院新築計画 屋根のモックアップ

奈良県桜井市にて計画中のK医院。

現在、実施設計作業を進めています。

 

この建築の特徴は3つの連なる山型の屋根。

桜井市は市域全体の60%の面積を山林が占め、東の長谷寺や南の多武峰とその背後に連なる紀伊山地の山並みは美しく、西の大和三山とあわせて飛鳥時代から人々の心に映る美しい風景が広がっています。

その風景をモチーフにした山型の屋根は、頂部をR型にすることでなだらかなに連なるイメージをつくり出していますが、その形状を屋根として造るにあたり、屋根材の加工上の制約が問題にあがりました。

 

屋根材メーカーの加工限界は半径1500mm。

一方、設計は半径1200mm。

300mmの差ですが、屋根のプロポーションは全然異なります。

どうすれば半径1200mmのRがつくれるか、施工会社・屋根業者とともに打合せを行ない、実際に原寸で屋根業者さんがいくつかの材料で試作(モックアップ)してくれることになりました。

きれいに半径1200mmで取り付けられた屋根。

浮いて見えるのがメーカーで工場加工された半径1500mmの屋根材。半径1200mmのベニヤ下地と比べると緩さがわかる。

 

このモックアップを製作したことで問題が解決し、妥協することなく設計を進めて行くことができます。

実は、基本設計段階の4社での概算相見積もりの際、2社が屋根の施工が難しいと辞退していました。

今回内定している施工者は「難しい=できない」ではなく「難しい=どうすればできるか」という考え方で対応してくれる頼もしい施工会社。

設計者だけではなかなか解決しないこのような施工上の問題点が、施工者の協力により解決し、理想の建築を設計することができるのはとてもありがたいことです。

 

 

 

 

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